生と死を見つめる写真家・藤原新也の短編集を読んだ。
短編集の中にある
カハタレバナは、13日の夜にBSプレミアムでドラマ化されたので観ました。
少し設定人物は違ったけどね。
20才頃に読んでも、たぶんつまらなくて読まなかったかもしれないほど、特に楽しくも悲しくもない普通の人の出会いと別れが淡々と描かれている。
写真集「メメント・モリ」は衝撃的だったけど、この短編集を読むと、乾いた土に細雨がしみこむように文章が心に染み込んできた。
「人間の一生はたくさんの哀しみや苦しみに彩られながらも、その哀しみや苦しみの彩りによってさえ人間は救われ癒されるのだという、私の生きることへの想いや信念がおのずと滲み出ているように思う。哀しみもまた豊かさなのである。」
この、あとがきの最後の文章が印象的だと感じたのは、多分読んだ人の中には多く居たんじゃないかな。
同じ本を読んでも、時を経て年を重ねれば感じ方も読み方も変わる。
「メメント・モリ」の写真集を取り出してみた。
写真そのものは今も強烈だけれど、なんとなく写真と自分が近くなったような感じもした。
少しはインド人の死生観を仏法から学んだせいなのか、死がより現実的な物になってきたからかは分からないけど。。。